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研究概要

ニッケル触媒反応

新規反応の開発と解析

ニッケル触媒を活用した有機合成反応の開発

 

有機合成化学において、炭素-炭素結合形成による分子の基本骨格の構築は有機合成の基盤です。多様な炭素-炭素結合形成を実現する遷移金属触媒は、有用有機化合物の効率的かつ選択的合成を可能にします。遷移金属を用いる触媒反応により、触媒を用いない場合とは異なる反応経路を開拓することで、新たな炭素-炭素結合形成方法の実現に貢献してきました。特に、ニッケル触媒を活用した有機合成反応の開発を実施しています。鉄やニッケルのイオンは最外殻電子軌道として3d軌道を有しています。主量子数のより大きい遷移金属元素、4d遷移金属元素であるパラジウムや5d遷移金属元素の白金などよりも、炭素や窒素、酸素原子が有する最外殻軌道との軌道のエネルギー準位が近いために、有機合成において結合の形成を促す触媒として本質的に潜在能力が高いと考えています。

​​『新規反応の開発と解析』に関する他の研究課題​

  • 立体効果の定量化に基づく新規不斉配位子の設計と創出

  • 活性分子新規調整法の開発と応用

プラズマ有機合成

反応場の創成と応用

プラズマを利用した精密有機電気化学の開拓

 

近年、大気圧程度の圧力下で生成できる低温プラズマの研究が注目されています。従来の高真空化でのプラズマ生成とは異なり、常圧に近い圧力下で沸点の低い液体状の処理対象物にプラズマを照射することができます。表面改質による医療分野や産業分野での応用も検討されています。しかし、有機合成分野において、異なる二分子を分子間で反応させる有機合成に応用した前例はありません。しかし、アルゴンプラズマの活性種であるアルゴンラジカルカチオンと電子をそれぞれ、酸化剤あるいは還元剤として利用することができれば、反応系中にて二つの異なる分子をそれぞれ活性化して反応さえることが可能であると考えました。このような着想に基づき、新たな学術領域としてプラズマ有機電気化学―触媒化学による有機合成の開発に挑戦しています。

​​『反応場の創成と応用』に関する他の研究課題

  • フッ素界面活性剤が形成する反応場を利用した反応制御

  • 固相担持型光触媒による複合触媒系の構築と応用

オリゴピリン

機能性有機分子の設計と合成

螺旋不斉型オリゴピリン分子の合成と機能性材料への展開

 

有機分子をダイオードやトランジスタなどの能動素子として応用する研究が盛んにされていますが、分子デバイスを実現するためには未だ解決が必要な課題もあります。例えば、受動素子のひとつである「ソレノイド型コイル」として機能する分子が未だ開発されていません。それは、3次元的に共役した「らせん」分子の設計・合成の難しさ、光学活性体として合成・単離してくる必要性、電気伝導の異方性制御など、他の単分子材料にはない課題を有しているからです。本研究では、π共役らせん不斉オリゴピリンの合成を行なっています。π共役オリゴピリンの分子内水素結合と共有結合により構成される「らせん不斉」場において、電子(または正孔)がどのように移動するのかを明らかにします。

​​『機能性有機分子の設計と合成』に関する他の研究課題​​

  • 不斉光触媒の合成と応用

  • 柔粘性有機分子の固体物性制御

共同研究等

味の素株式会社

三菱ケミカル株式会社

三井化学アグロ株式会社

京都大学大学院工学研究科

高輝度光化学研究センター​

​関西学院大学理学部化学科

(玉井尚登研究室・田中大輔研究室)

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